近畿圏の型式別供給割合
「大阪市」は供給戸数の約73%が、「大阪市を除く近畿圏」は約67%が単身者向けであり、その中でも「1K-1LDK」が供給型式のメインとなっている傾向が続いている。
但し、2021年以降、「大阪市」も「大阪市を除く近畿圏」も単身者向け供給割合が微減し、ファミリー向け供給割合が増加している。
<図1>は、2000年から2025年までの大阪市と近畿圏主要市(大阪市を除く大阪府、神戸市、明石市、阪神間6市、京都市、奈良市、大津市、和歌山市)の新築賃貸マンションの供給割合をタイプ別に表わしたものである。
2000年は、「大阪市」の単身者向け供給数の割合は約69%で、「大阪市を除く近畿圏」は同49%で、「大阪市を除く近畿圏」では、ファミリー向け供給が主流であった。
その後、「大阪市」「大阪市を除く近畿圏」ともに単身者向け割合が増加傾向にあるが、これは核家族化が進行しているためである。
2008年のリーマンショック以降は、ファンドによる単身者向け供給割合が減少したが、2015年以降、再び単身者向け供給が増加していたが、2022年は若干ではあるが、ファミリー向け供給割合が増加している。
これは、2019年12月中国武漢市に端を発したコロナウイルス感染症が2020年以降、全世界に拡大流行し、日本でも緊急事態宣言により「ステイホーム」を余儀なくされ、働き方も「リモートワーク」が導入されたことから、広目の住宅需要が高まっていることを反映していると考えられる。
その後もファミリー向け供給割合が増加しているが、これは近時のマンション、戸建住宅の価格上昇に伴い、賃貸を選ぶファミリー層が増加していることと、投資目的で分譲マンションを購入し、賃貸に供する投資家数が増加していることによる。
住宅賃料の予測
2025年の新規供給の平均賃料単価は、下表のとおり。
概ね大半の地域でどの型式も上昇している(「1ルーム」と「3K-3LDK」は供給件数が少ない点に注意)。これは、地価・建築費の上昇が主たる要因である。中小企業の多い関西圏では、労働者の賃金上昇の動きは鈍いが、働手不足を受け、家賃補助等の福利厚生も回復しており、徐々に需要は追いついている。大阪市の「3K-3LDK」の賃料単価は、他の型式より最も高い3,400円/㎡台であるが、これはタワーマンションの分譲貸し事例が大半であるためである。このような高額賃貸に需要がついているのは、阪神間・大阪中心部・北大阪地域の利便性の良い地域に限られている。
2024年に賃料アップとなった泉北エリアでは、2025年では賃料の下方修正となっており、2025年も賃貸住宅市場は、二極化の傾向が進捗していくものと予測した。