2000年度不動産市場の予測
難波鑑定レポート28号からの抜粋
大阪市商業地の地価
99年では、全ての調査エリアで入居率の低下がみられ、需要の減少が顕著となった。
大阪市全体では、99年9月で対前期(98年9月)比で保証金は△2.9%、賃料は△2.0%下落し、空室率は2ポイント上昇し99年9月現在8.6%である。
不況業種を多く抱えている大阪の産業構造を転換し、起業家が育ちやすい土壌を育成しない限り、人的資源は東京に集中する。
2000年の大阪経済の課題を解決しない限り、大阪市商業地の地位は低下を続け、賃料下落、土地価格の下落は続行するものと予測する。
住宅地の地価
2000年の住宅地の地価は前半は下落するが、後半は底這いに入る地域が明確化してくる。住宅地は選別され、地価が安定する住宅地と下落が続行する住宅地の二極分化の傾向が現れる。
実勢価格と理論地価
実勢価格と昭和62年7月を基準日とした理論価格は、平成8年1月に交差し、理論地価は実勢価格を上回る結果となった。
住宅賃料
2002年の賃貸市場においても住宅地と同様「二極分化」が顕著で、賃料横ばい、反転上昇地域と下落地域が表れてきた。2003年もこの傾向が続行するものと思料される。
供給の主流は、ファミリー向けから単身世帯向けに移行しており、「利便性」、「ゆとり・快適性」、「経済性」と間取りの既成概念にとらわれず、需要者のライフスタイルにフレキシブルに対応できる住宅、即ち「可変性」のキーワードにかなう賃貸住宅は市場で生き残る。
住住宅賃料の予測
99年は、全タイプの賃料が下落したが、その中でも総額家賃で頭打ちを受け、分譲マンションと競合するファミリータイプの他、ワンルーム賃料の下落が顕著であった。
2000年の賃料は、全タイプ平均で△3%〜△5%下落するものと予測した。
分譲マンション価格の予測
可処分所得の伸び率から求めた理論価格と近畿圏マンション価格との比較では、未だ後者の方が6%高い。
2000年は、
(1)供給側では、'99年にリストラ処分によるマンション適地の素地取得が進んだこと。
(2)需要者側では、実質可処分所得のマイナスが顕著になった。
こと等の要因により、マンション価格の下落は続行するが、2000年後期には横ばい状態に入るものと予測した。