2007年不動産市場の予測
動き出した地価
団塊世代は持家率が高く今後の住まい方も「持家」のままの割合が高い。
住宅に対するニーズは「安全性」を重視していることからバリアフリーを中心とするリフォーム需要、「戸建」から「マンション」への買い換え需要が期待できる。
「団塊ジュニア世代」は持家志向が高いため、ここ5年は1次取得の住宅需要を支えていくものと予測される。
大阪市商業地の地価
昨年の上半期は地価高騰したが下期においては一等商業地を除いては価格が下落し、地価調整局面に入っている。この理由としては以下のものが掲げられる。
1.ファンドに融資する金融機関が慎重になったこと。
2.投資家のファンドに対する情報開示ニーズが高まり、投資姿勢が慎重になっていること。
3.地価高騰に伴い利回りが低下するものの、金利は上昇傾向にあること。
4.都心に集中していたマンションディベロッパーが、採算に合わないため用地取得の目を市外に向けたこと。
5.商業用ビルでも、居住用マンションでも、過大な需要期待による収益見込(高い賃料設定)が、実需の弱さから下方修正されたこと。
住宅地の地価
堺市をモデルにしたGDPの変動を乗じた理論地価と実勢価格は接近している。
住宅地の地価は全般的に回復、上昇に転じるが、人口増加地域の快速・急行停車駅勢圏ではより顕著に上昇、その他の地域と地域間の格差の開きが拡大していくものと予測した。
住宅賃料
全体の傾向としては占有面積が拡大したため「1ルーム」「1K~1LDK」の支払賃料が下落し、「2K~2LDK」の支払賃料は大阪市の件数が増加したため平均賃料が上昇した。「3K~3LDK」の支払賃料はほぼ横ばいである。
一時金月数は、シングルタイプの下落が続行している。
2006年後半から建築費の上昇が顕著になっているが、建築費の上昇を賃料に転嫁できる程需要は回復していない。
2007年は「1K」タイプの供給は減少し「1DK」「1LDK」のシニアシングル、ディンクスといった幅広い年代層をターゲットに出来るタイプが供給の主流になるものと予測した。
分譲マンション価格
可処分所得の伸び率から求めた理論価格と近畿圏マンション価格との比較では、マンション価格の上昇によりマンション価格は理論価格を上回った。
2006年の近畿圏の新築マンション市場は、94年以降拡大傾向にあった平均専有面積は2002年(平成14年)の78.18㎡でピークになり2006年では75㎡まで狭くなっている。平均単価は2002年の41.4万円/㎡を底に上昇し始め2006年(平成18年1月~10月)は44.4万円/㎡である。
2007年のマンション市場は、建築費の上昇、用地取得費の上昇から販売価格は上昇していくが、勤労者世帯収入は伸び悩んでおり需要がついてこれず市場低迷が懸念されるエリアと需要好感されるエリアとの二極化が明確になっていくものと予測した。