難波不動産鑑定

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2020年 近畿2府4県地価調査結果

令和2年地価調査における地価変動の特徴

 地価調査の価格時点は7月1日であるため、令和2年地価調査は令和元年7月1日~令和2年7月1日間の地価の変動を表しているが、今回の地価調査結果は、令和元年7月1日~同年12月末日間と、令和2年1月1日~同年7月1日間では、地価動向が著しく異なっている。
 令和元年7月1日~同年12月末日間では、住宅地については、雇用・所得環境の改善が続く中、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調であったため、地価の上昇地点が大都市を中心に多く観測された。
 商業地については、景気回復、良好な資金調達環境の下、人材確保等を目的として、オフィスビル需要が堅調であり、空室率の低下・賃料の上昇傾向が継続、外国人観光客をはじめとする国内外の訪問客の増加により収益性の向上が見込まれる地域における店舗、ホテル等の進出、交通インフラの整備や再開発の進展に伴う利便性や繁華性の向上等を背景に需要が堅調であり、また、地方都市を含め、マンション需要とも競合したため、大都市を中心に地価は上昇傾向にあった。
 しかしながら、後半令和2年1月1日~令和2年7月1日間では、令和元年12月、中国武漢市から端を発した新型コロナウイルス感染症の影響による世界的な感染拡大により、日本国内においても令和2年3月以降全ての小中高等学校等の臨時休業を要請、また同年4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言により、経済活動の自粛を余儀なくされた(同年5月25日緊急事態宣言解除)。この間の経済活動の停滞により、企業収益は急速に悪化し、雇用や所得の減少に伴い、総じて住宅取得意欲の減退につながった。
 また、これまで地価を牽引していたインバウンド需要も、新型コロナウイルス感染症対策によりインバウンド受入を制限したため、店舗需要、ホテル需要は激減し、インバウンド需要の影響の大きかった地域ほど、地価下落が観測された。
 地価下落の要因としては、新型コロナウイルス感染症の他にも、令和元年度東日本台風(19号)による河川の氾濫による浸水被害、土砂災害警戒区域等の自然災害による要因も見受けられる。
 昨年度調査までは、利便性に優れる立地、都心居住の需要増により、地価が上昇する地域と、利便性に劣り、高齢化が進捗している地域では、地価が下落する二極化傾向であったが、今回調査結果では新型コロナウイルス感染症が広域的に影響を与えたことが特徴である。