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2016年不動産市場の予測
 
人口減少がまち・生活に与える影響について−「空き家等対策の推進に関する特別措置法」の意義 −

Point1 人口減少が地方のまち・生活に与える影響

 私達の日常生活上、必要なスーパー、金融機関、病院等は、その事業が成立するためには一定の人口規模を必要としている。
 こうした事業所の人口規模は業種によって様々である。
 例えば、売り場面積15,000u以上のショッピングセンターは、80%以上の確率で立地するためには、92,500人の人口規模が必要で、50%以上の確率で立地するためには77,500人必要である。百貨店は275,000人必要であるので、地方都市の百貨店の閉店が相次いでいるのも地方都市の人口減少によるといえる。
 最近は、高齢者の社交の場となっているフィットネスクラブも62,500人(80%以上の確率)の人口規模が必要である。郵便局は500人規模であるが、銀行は9,500人(80%以上の確率)を必要とする。
 一般病院は27,500人(80%以上の確率)、訪問介護事業も27,500人(80%以上の確率)必要である。
 士業でも、税理士事務所が27,500人、公認会計士事務所275,000人、法律事務所77,500人(いずれも80%以上の確率)の人口規模を要するのである。
 人口減少が続行し、上記サービスの事業所が撤退していくと、雇用の場がなくなり、雇用を求めて更に人口は流出し、地方公共団体の税収は減少し、公共交通(鉄道、路線バス)も撤退若しくは路線や運行回数が減少する。
空き家や空店舗、工場跡地、耕作放棄地等が増加し、地域コミュニティ(町内会、自治会)は成り立たなくなる。
 即ち、人口減少は負のスパイラルを生み出していく。

Point2 空き家等対策の推進に関する特別措置法

 管理が不十分な空き家の火災の発生、建物の倒壊、衛生面、景観面での悪化から、国土交通省から要望が出、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が議員立法で平成26年11月19日に成立し、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にある空き家等を「特定空き家等」と定義し、その所有者等に対し、必要な措置をとるよう、市町村長が助言、勧告、命令等を行えることとした。

公 布 日 平成26年11月27日
施行期日 平成27年 2月26日
(附則第1項但書に規定する施行期日は平成27年5月26日)

Point3 増え続ける空き家の実態

 総務省統計局 平成25年住宅・土地統計調査結果による総住宅数・空き家数及び空き家率の推移を昭和38年から平成25年まで表したものによると、平成25年の総住宅数は6,063万戸で、10年前より+12.5%増加しているが、空き家数は平成25年は819.5万戸で10年前より+24.3%増加しており、空き家率も10年前の12.2%から13.5%に増加している。

Point4 何故、空き家が増加していくのか

 @ 世帯数の増加以上に住宅が供給されている。

世帯は、総務省「住民基本台帳」による。総住宅数は、総務省「住宅・土地統計調査」による。

 A 少子化と核家族化により、親の家を引き継げない。親世代の家の余剰。
 B 売却・賃貸の利活用をしたくとも、需要がない。過疎が進んでいる都道府県別空き家率が高いことからもうかがえる。

都道府県別空き家率(二次的住宅を除く)
(平成20年、平成25年)

空き家率の高い都道府県	空き家率の低い都道府県

 C 更地にする費用負担が重い。
 D 住宅敷地であれば、固定資産税(都市計画区域では都市計画税も)軽減される。
 E 相続人同士の意見がまとまらない。

Point5 空き家バンクとは

 @ 空き家バンクの定義
 「空き家バンク」とは、「自治体などが地元の空き家情報や移住に関する情報をインターネット上などで公開することによって、全国から入居者や購入者を募り、地域に住民を呼び込むことによって、地域活性化を図る取り組み」米山秀隆氏「空き家急増の真実」(日本経済新聞出版社 平成24年134頁)による。

 A 空き家バンクの仕組み
 空き家バンクの仕組みを図式化すると、以下のように表わせる。

空き家バンク

Point6 空き家バンク成功事例にみるキーワード

 空き家バンク制度が成功している自治体の共通項を調査すると、以下の4つのキーワードに絞られる。

@ ネットワーク
移住を誘致するまでは地元の各団体、特に不動産業界や、金融の専門家のネットワークが不可欠であるし、移住してからは、移住者が定住できるよう、また、地域に溶け込むことができるよう、支援しなければならない。
このように、地元でのネットワークの構築が極めて重要になる。
静岡県の静岡不動産流通活性化協議会は、静岡県と静岡市、浜松市等、19市町と連携して協議会メンバーの検査機関、リフォーム業者、金融機関から助言を受けることのできる相談窓口の設置、空き家の管理・売買、賃貸リフォームによる流通促進、倒壊の恐れのある空き家の除去に協力している。

A 情報(収集・発信)
情報収集・発信する体制づくりと情報を共有し、かつ、情報を分析し、情報と情報をマッチングできるシステムづくりが必要である。

B インセンティブ(補助金等)
移住者に対する補助金に、つい目が向きがちであるが、空き家提供者に対する助成金も効果が大きい。
家財、仏壇の移動・整理に費用がかかるため、空き家のバンク制度があっても、情報登録をためらう所有者が多いためである。

C ホスピタリティ
移住者が第2の故郷として定着するためには、受入地の住民が気持ちよく受け入れる姿勢が必要である。
以上の4つのキーワードは、これからの人口減少時代にまちとして生き残るヒントがある。
三大都市圏内においても、二極化は進行しており、大阪市を例にとれば、中心6区は人口が転入増であっても、緑辺区では人口減少と高齢化が進行している。大都市においては、概ね人口減少問題については鈍感で、特にインセンティブ(補助金等)については、財政難を理由に消極的であるが、現在時点から将来に備えて布石をうっておかないと、まちの魅力が損なわれ、住民がまちを離れていってからでは手遅れになる。
まず、第1に取りかかるべきは、地元のネットワークの構築である。いろいろなNPOや自治会がただあるだけではなく、有機的に結び付け、活動しやすくすることが最優先であるが、「空き家問題」と「空き家等対策の推進に関する特別措置法」は、地域が地元を見つめなおす、大きな契機となり得る。
即ち、「空き家」という、まちの「ピンチ」をまち活性化の「チャンス」に代えうる大きな資源として「空き家」活用に取り組むべきと考える。

 
大阪市商業地の地価

Point1

 大阪ビジネスゾーンのオフィス賃貸市場は、入居がやや改善し、92.5%となっているものの、賃料は対前年同月比(平成25年11月3,363円/u、平成24年11月3,364円/u)で、ほぼ横ばいとなっている。
 その中でも、梅田ゾーンは築浅の大規模ビルに大規模の面積の成約が成立したことや、他ゾーンからの借り換え移転で入居率は上昇、賃料も上昇している。
 反面、淀屋橋ゾーンは地区外移転により、入居率が減少し、賃料も下落している。
 新大阪地区は若干、入居率が良くなっているものの、賃料上昇には結びついていない。
 東京オフィス賃貸市場では、入居率が上昇し、賃料も2015年11月の対前年同月比で+4.0%上昇している。
 現在、建設中で2016年竣工のビルのテナント成約率も順調であることから、東京オフィス賃貸市場の入居率、賃料の上昇は2016年も続行すると予測される。
 大阪オフィス賃貸市場も、大規模なオフィスの供給がないことから、入居率は上昇すると考えられるが、賃料についてはテナント需要が集中する「梅田」ゾーンを除いては、ほぼ横ばいで推移するものと予測する。
 というのは、新規のオフィス供給が少ないので、入居率は上昇するが、入居テナントの大半は移転需要であるため、需要増には結びつかず、賃料は横ばい基調となると考える。

Point2

 インバウンド増と主として中国人の爆買いが大阪商業地を活性化している。
 特に今まで「キタ」に開発が集中し、危機感の強かった「心斎橋・難波」の「ミナミ」地区がV字回復しており、店舗賃料、地価が上昇している。
 「心斎橋」から「難波」までの間のロイヤルブランド店やナショナルチェーンの衣料店目安のインバウンド客が急増しているためである。
 また、浪速区日本橋の通称「でんでんタウン」は、「おタクロード」に変遷していたが、近年は訪日外国人向けに服飾、化粧品、食品等の免税店が進出し始めている。
 ホテルの稼働率も上昇し、2015年10月の客室稼働率は、京都97.3%、奈良91.5%、大阪92.2%、神戸85.8%と絶好調である。
 ホテル不足により、違法民泊が横行し、京都では悪質な民泊経営事業者が摘発されている。
 関西主要都市のホテルも高収益から売買されているが、外国資本による購入が目立ち、ホテル売買価格も上昇している。
 このように、訪日外国人客景気に沸いている大阪中心商業地であるが、懸念材料としては、中国経済の減速と爆買いによる外貨流出を抑制すべく、中国政府がクレジットカード(銀聯カード)の上限額を検討していることがあげられる。
 また、2015年からの相続税増税に対し、タワーマンション購入により節税できるとして(市場価格と相続税評価額の乖離を利用した節税策)、都心部のタワーマンションの売行きが好調であるが、これに対し、平成27年11月に国税庁は全国税局に「タワーマンション事案には相続税財産評価基本通達6項(この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する)の適用を含め、注意して検討すること」と指示を出している。
 このため、節税目的のタワーマンション需要は今後、減少することが予測される。
 以上、絶好調にみえる都心商業地であるが、不安要因を内在している。

 
住宅地の地価

Point1

 近畿圏の主要中心部では、国内外の投資需要があり、地価、不動産価格は上昇を続行している。
 反面、投資需要のない周辺都市は、大阪府の北摂・阪神間を除き、建築費の高騰と増税による不動産価格の上昇から需要は2,000万円以下の中古住宅、中古マンション市場に流れ、価格が上昇した新築住宅、新築マンションの売行きは低迷している。

Point2

 上記の低迷の理由は、物価が上昇しているのに対し、勤労者所得は伸び悩んでいるため、需要の住宅取得意向が慎重になっているためである。

Point3

 都心部のタワーマンションは、国内外の投資需要によって売れ行きは好調である。
 特に相続税等対策に有利として、節税目的のタワーマンション購入は活況であったが、2015年11月、国税庁は全国税局等に対し、「タワーマンション事案には、財産評価基本通達6項の適用を含め、注意して検討すること」といった指示が出ており、行き過ぎた節税策に歯止めをかけようとしている。
 従って、今後は節税目的のタワーマンション購入需要は減少していくと思われる。
 収益用不動産の売買も上記節税目的もあって活発化しているが、収益用不動産価格の高騰、即ち、投資利回りの低下は、需要の意欲を減退せしめている。収益用不動産の内、取引件数の多い賃貸住宅の住宅賃料が上昇しておらず、収益の原資に不安があることと、NOIに対する利回りと借入金利との格差が縮小しているためである。

Point4

 以上を総括すると、都心部・北摂・阪神間については、住宅地の地価上昇は続行するが、都心部商業地を除いて、その地価上昇率は小幅なものになると考えられる。
 また、周辺都市においては、都市内で最寄駅に近く、利便性の高い立地は地価上昇するも、人口流出エリアは地価は下落が続行する。
 即ち、二極化を内在しつつも、全体としては近畿圏の住宅地の地価は横ばい基調か、やや下落が続行していくものと予測する。

 
住宅賃料

 近畿圏の賃貸需要は首都圏、中京圏に比すると芳しくない。
 国土交通省「平成26年度 住宅市場動向調査」(平成27年3月)によると、世帯主の平均年齢は、首都圏38.7歳、中京圏36.1歳、近畿圏38.1歳と中京圏が2歳若い他は首都圏と近畿圏は同年齢で、居住人数も首都圏2.3人、中京圏・近畿圏2.2人と大差はないが、世帯年収は首都圏446万円、中京圏408万円、近畿圏375万円と三大都市圏内で最も低い。
 「支払家賃 + 共益費」でみると、首都圏が82,115円、中京圏61,668円、近畿圏68,460円で中京圏より支払コストは高い。
更に勤務先からの住宅手当があるのは首都圏23.9%、中京圏34.4%、近畿圏19.9%と中京圏は手厚いが、近畿圏は三大都市圏で最も低い。
 家賃の負担感については、負担感がある(「非常に負担感がある」「少し負担感がある」の合計)割合は、首都圏74.7%、中京圏64.5%、近畿圏は65.7%であるが、前述、支払コストが年収に占める割合、即ち、家賃負担率は首都圏22.1%、中京圏18.1%、近畿圏21.9%で、首都圏と近畿圏はほぼ同じ位になっている。
 今回の弊社の賃貸市場調査結果では、建築費の高騰を吸収すべく、占有面積を小振化し、総額賃料を抑えており、阪神エリアを除き、総額賃料が下落しているエリアが目立った。
 国土交通省の「住宅市場調査結果」にみるように、近畿圏の需要の所得環境は厳しいことから、2016年も建築費の高騰を賃料に転嫁することは困難で、更に占有面積の小振化が進捗していくものと予測した。

 
分譲マンション価格

 都心部の地価上昇、建築費の上昇により、マンション販売価格は伸長しているが、一般エンドユーザーは高騰する新築分譲マンションの価格についてゆけず、中古マンション市場に流れている。
 近畿圏の中古マンションの平均価格は2014年1,815万円から2015年(1〜10月)1,894万円と+4.4%の上昇。専有面積1u当たりの価格では、2014年26.0万円/uから2015年(1〜10月)27.3万円/uで、+5%の上昇と、中古マンション市場も価格上昇機運にある。
 中古マンションを売却した住み替え層は、売却益の資産効果もあり、高騰している新築分譲マンションに流れている気配があったが、横浜市の「基礎杭問題」で冷や水をかけられた状態にある。分譲マンション業者は、「基礎杭」が安心であることのエビデンスが必要であるため、2015年秋以降の発売が遅れているところがみられる。
 新築分譲マンションの契約率が好調なのは、タワーマンションや投資向け1ルームマンションで、エンドユーザー向けのマンションの契約率は伸び悩んでいる。
 マンションディベロッパーは、投資家向けマンションの売行きが良いため、都心立地での供給に躍起になっているが、本来のエンドユーザーのニーズに目を背けている以上、投資フィーバーの波が引いたとき、マンション市場の規模は著しく縮小することが予測される。
 また、エンドユーザーの意向も変化している。
 前述のとおり、中古マンション市場が活況なのは、「価格の安さ」である。
 内閣府が平成27年10月1日〜10月11日間に調査した「住生活に関する世論調査」では、「住宅を購入するとしたら新築か中古か」という問いに対し、73%(新築一戸建がよい63%、新築マンションがよい10%)が新築希望で、中古希望は9.9%と1割弱(中古の一戸建6.1%、中古のマンション3.8%)であったが、2004年調査では、「中古」希望は3.4%であったから、伸び率としては急上昇といえる。
 反対に「新築」希望は2004年調査から9.2ポイント減である。
 「中古がよいと思う理由」のトップは「中古住宅の価格の方が手が届きやすいから」で61%を占め、次いで「中古住宅を購入しておいて、時期をみて建て替えやリフォームをする方が資金計画などに無理がないから」(29.7%)と続き、いずれも「価格」・「資金」と「お金の都合」が理由になっている。
 また、「住宅を所有したいか」という問いに「所有したい」と回答した者の割合は2004年調査と比べると、79%から74.9%に低下している反面、「所有する必要はない」と回答した者の割合は2004年の12.1%から16.5%に上昇している。「所有する必要はない」と思う理由のトップは「多額のローンを抱えたくないから」で20.9%であった。
 現在、新築分譲マンションの占有面積1u当たり価格は、平成初期のバブル崩壊直後の水準まで上昇している。バブル期には、勤労者の所得も上昇し、不動産価格は下がらないという神話のもと、近畿圏では年収倍率約7倍のマンションを購入していたが、バブル経済崩壊とともに、デフレ期に突入し、年収は低下した。
 不動産価格も低下したため、年収の5倍前後になっているが、現在の需要マインドは「無理をしない」ため、年収が上がらない以上、分譲価格だけが上昇したとしても、需要はついてこない。
 これが契約率の低下の原因である。
 マンションディベロッパーは、地価や建築費の高騰を理由にせずにもう一度、誰に住んでもらうためにマンションを作るのか考えた方がいい。

 
 
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